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ホーム  > ニュース&トピックス  > 7月総長所信 日本国民が選ぶエネルギー政策

7月総長所信 日本国民が選ぶエネルギー政策

アメリカ、フランス、イギリス、中国、インドなど多くの国は自国のエネルギー政策に原子力を大きく掲げています。
一方でドイツ、イタリア、スウェーデン、ベルギーなどは原子力撤廃を政策化した時期があります。
未だ日本は今回の震災から原子力エネルギーにおいて、いかなる道を選択すべきなのか、明快な答えを出せないでいます。

 そんな中、私は原子力発電の是非についての議論が冷静さを欠いたまま進んでいることに大きな懸念を持っています。
原子力発電所などこの世から消してしまえというヒステリックな声に論理性は見られません。
特に経済的な観念を考慮しない感情的な意見は、国家財政というものを全く理解していないとしか言いようがないのです。

 確かに今回の原発事故は取り返しのつかない惨事となりましたが、原子力発電所が日本には必要であるから作ってきたことを忘れているのではないでしょうか。
これまで高水準の電力安定供給にどれだけの英知が投入されてきたか、私はつぶさに見てきた者の一人です。
原子力発電所を撤廃すれば電気代は倍増し、CO2排出量が激増することは間違いありません。
その上、国が高額で電力を買い取る再生可能エネルギー促進法など、正気の沙汰ではありません。
感情的な反原発政策を進めればお金がいくらあっても足りません。消費税率を10%に引き上げても足りなくなることは必定です。
このことを誰も言わないことが不思議でならないのです。いずれ国家財政がひっ迫し、日本は先進国では無くなり途上国となるでしょう。
政治家が選挙のためだけに原子力反対とのたまう姿は見るに堪えません。我々の世代が湯水のようにお金を使えば、子や孫がその膨大な借金を背負うことになり、それこそ取り返しのつかない事態となるのです。

 また、エネルギー政策は各国の安全保障に直結しています。
これまでの戦争は、エネルギーの争奪戦そのものであったということは言うまでもありません。その国のエネルギー源が多様であることはその国の安全保障上、重要なことなのです。
特に日本は原油の99%を輸入に頼っており、エネルギー安全保障という観点から極めて難しい外交をこれまで行ってきました。
私自身、衆院外務委員長時代に一番苦労し、心血を注いだのがエネルギー供給国との良好な関係構築でした。
全く原子力発電に頼らない世界に戻ってしまうと、原油価格の高騰がそのまま日本経済に大打撃を与えます。
たとえ津波が来なくとも、日本経済が壊滅的な被害を受ければ、日本国民の生活が破壊されることに何ら変わりはないのです。
そもそも電気という重要なインフラは、その発電源を原子力・火力・水力などに分散してリスクヘッジしなければならないものなのです。
さらに日本は、太陽光・太陽熱・風力・バイオマス・海水温度差・水素エネルギーなど次世代のあらゆるエネルギー研究にも力を注いでいます。さらなるエネルギーの多様化が、そのまま日本の国益につながるのです。

 東京電力株主総会も民主党両院議員総会も大荒れでしたが、その両方でトップの哀れな姿を見ることになってしまいました。東京電力にも民主党にも国難に立ち向かうリーダーはいませんでした。
しかし国民の側も東京電力に何兆円もの賠償を課して、安直な反原発を唱えるいいかげんな議員に疑問を持たないでいれば、同類の誹りを受けることになるでしょう。

 インドネシア政府は経済発展のために同国初の原発をつくります。
日本の原子力安全基盤機構から原発事故の詳細な情報を得て、十分な対策をとる準備を始めています。インドネシアは科学技術と冷静に向き合い、正しい折り合いをつけることを決めたのです
 今年の夏は、日本のエネルギー政策について議論する良い機会です。
暑い中、努めて冷静に我々と我々の子孫のために正しい意見を表明することが、真の復興を目指す日本人の矜持だと思っています。



湘南工科大学
総長 糸山英太郎