大学案内2023
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62MESSAGE工学の“工”は“作る”を表す漢字ですが「天と地をつなぐもの」という意味もあるそうです。工学は無限の可能性とつながることができる学問だと信じています。一緒に真理を見つけましょう。MESSAGE学び考えたことを実験して、思った通りの結果が出た時の喜びは本当に代えがたいものです。科学技術の力によって未来の人間の生活をより豊かに幸福にできると信じ、共に研究に励みましょう。使われていない振動や排熱などを使い勝手の良い電気エネルギーに変えて利用する、“エナジーハーベスト”といわれる環境発電や電気熱量効果という電気分極を使った冷却方法などを研究しています。太陽電池は環境のエネルギーを利用するのに最も有効だといわれていますが、必ずしも陽が当たる場所ばかりではありません。例えばトンネルの中で動かさなければいけない監視装置は、太陽エネルギーではまかなえません。しかし振動で発電するエナジーハーベストであればエネルギーを供給できます。監視装置が安定して役目を果たせば、建築構造物の安全が確保されたり、農林水産業などの収穫量が向上したり、気候変動のモニタリングによって災害が防止できたりします。また、最適な圧電材料が見つかれば、より効率的に装置を動かし続けることができます。現代社会に欠かせない電気エネルギーを安定供給することで、安心安全な社会が実現するのです。“モノづくり”を通して得られる「身体知」を研究しています。「身体知」とは概念的に理解しただけの知識ではなく、体感として身につき、腑に落ちた「知」です。例えば料理で「塩を少々」といった場合、数値的には表示されていなくても、料理をする人なら「少々」がどのくらいの量か感覚的に分かりますよね。このように「身体知」とは物事をリアルな感覚でとらえ、身体で“理会”することを指します。共通した「身体知」は、社会性や円滑なコミュニケーションを生み出し、安易な情報に流されずに行動できる自信にもつながります。また地球規模のさまざまな課題を打破する鍵は、それらの危機をリアルに感じる「身体知」を身につけることが第一歩であると考えています。現代はデジタル化が急速に進み「身体知」との乖離が生じています。そんな時代だからこそ、工学を通して「身体知」を養い、リアルな世界を感じてほしいと思います。総合デザイン学科北原研究室北原立朗 講師人間環境学科眞岩研究室眞岩宏司 教授現代社会に欠かせない電気エネルギーを生み出す工学の視点から「身体知」を科学する

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