大学案内2024
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GRADUATESCHOOLOFNEERNG IIENG大学院工学研究科63宇宙エレベーターとは宇宙空間から吊り下げられたケーブル類を用いてクライマーという昇降機を昇降させる技術です。ロケットより安価で安全に人や物を宇宙へ送ることができると期待されています。私は地上から宇宙へと上がっていくクライマーを持ち上げるためのローラー配置と機構解析、宇宙で稼働できるクライマーの設計などを研究しています。2019年にはワシントンD.C.で、2022年にはフランス・パリで開催された国際宇宙会議に参加し英語で論文を発表しました。学会で発表を行うためには仮説を立てて何らかの結論を出さなければなりません。結論に向かってしっかりと計画を立て、トライ&エラーを繰り返しながら研究し続けます。未来が見えない不確実性の中、とにかく新しいことを吸収し続ける日々に頭が混乱し、知ることに疲れてしまった時期もありました。そんな時期を経て、今やっと新しいことを吸収することに慣れてきました。それは学び続ける中で実践を繰り返し、点と点がようやくつながり経験として積み上がってきた結果だと思います。今は新しい学びが楽しくてしょうがありません。理解する喜びを知り、自分の研究スタイルがやっと見つかったのです。学んだ分だけ、実験した数だけ糧になる。“知ることの意味”を知ることができた気がします。しかしまだまだ研究の途中です。大切なのは思い込まないことだと思っています。“こういうものだろう”と思い込んでしまったら可能性はそこで終わり。進みすぎて振り返ることを忘れないように、常に振り返り「本当にこれでいいのか」と自問自答することでより良い未来が創れるのだと思います。将来、私の研究が役に立つのだとしたら、それを私自身がこの目で見られなかったとしても、ものすごく嬉しいです。宇宙エレベーターという長期にわたるビッグプロジェクトに関われる喜びを、今、感じています。学び続ける中で見つかった自分らしい研究スタイル文化財のデジタルアーカイブのためにARアプリを制作ヒューマンインターフェースのシンポジウムで発表2022年1月に鎌倉市と情報学科の長澤・井上研究室が協働で開発したアプリ「AR北条義時法華堂」で、大学院工学研究科 博士前期課程 電気情報工学専攻2年の飯田大樹さんが企画およびAR制作を手掛けました。近年の発掘調査で詳細が明らかにされた北条義時法華堂の復元CGをARアプリにし、史跡内に設置されたARマーカーをスマートフォンなどのカメラで読み取ると、実寸大の法華堂を鑑賞できます。歴史の考証と社会への啓発、地域おこしなどに大きな役割を果たすとして期待されています。2022年8月に大阪で開催されたヒューマンインターフェース学会のシンポジウムで、大学院工学研究科 博士前期課程 電気情報工学専攻2年の加藤隼太朗さんが「微小な変化を持たせた映像による意識への影響」をテーマに対話発表を行いました。加藤さんはオンラインの「作業通話」に着目し、直接的な映像や音声ではなく、人の輪郭情報や単純な図形を用いて、視覚的に気配を感じさせるシステムを考案しました。このシステムにより、オンライン参加者の「つながり意識」を高められるかを評価し、新たなコミュニケーションツールの提案として発表を行いました。 地球規模のプロジェクトを私の研究で実現する0304

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