社会貢献活動報告書2022
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気が付けば、本学の「社会貢献活動」という授業科目に携わるようになって20年近く経過していた。この授業科目が開始されて数年後に担当し、現在まで携わっている。 当時の「サービスラーニング」は専門(本学の場合工学)と社会貢献との連携が強く求められていたが、すべての実習先でこの連携を実現することは困難であった。このため、工学との連携を実施できる実習先とそうでない実習先に分け、前者でサービスラーニングを実施していき、後者は、必ずしも専門との連携を実施することはできないが、市民性などを学ぶような実習として発展させてきた。この方針とカリキュラムと整合するため、2010年からは、「社会貢献活動」は「共通教養科目」の科目となっている。 今後、「社会貢献活動」はどのように変化していくのか。大学という限られた空間にいる大学生と社会とのつながりの必要性は、今後ますます高まっていくと思われ、「社会貢献活動」の重要性は増していくと考えている。 「ヨコハマ・ヒューマン&テクノランド2010」に出展 33 小学校で車いすの修理を指導する実習生(2011年8月) 社会貢献活動20年を振りかえって この授業科目は当初、インターンシップなどと一緒に専門科目のフィールドワーク分野として開設された。このため、専門科目とボランティアとの連携についていろいろ調査したことを覚えている。そして「サービスラーニング」という考え方にたどりつき、その事例などを調査したが、工学部の事例はわずかであった。教育に興味がある教員を巻き込み、「サービスラーニング」を教科書通りに取り入れることは難しくも、本学の授業の中で可能な範囲で行うように努力した。 また、実施方法も、「サービスラーニング」の事例を参考にして、実習先を選定し、事前研修、中間期研修、報告会を実施し、報告書も提出させるようにして教育効果を高めることを目標に教育プログラムを作っていった。そして、社会貢献活動の外部評価委員会や実習先との懇談会を実施して、授業改善に努めてきた。 サービスラーニングが求める工学との連携を満たすと思われる実習もあったが、より多くの学生をそのような実習に導くため、本学の教員が協力して「ビスケットワークショップ」(ビスケットとは、ゲームを作成するためのプログラム言語である)「高齢者パソコンサポート」「福祉ものづくり」などの実習を実施した。とくに、「福祉ものづくり」は、障害を持った人のために、福祉機器を作成する社会貢献であり、機器製作のために工学的な知識を生かすことができる、というだけでなく当事者からの聞き取りなどを通して、コミュニケーションや思いやりの大切さに気付き、これらの力を獲得できる活動であった。 このような教員の努力は、2008年の教育GPの獲得につながっていったと思う。この教育GPについては眞岩先生が別ページで述べているのでそこを参照していただきたい。さて、ここまでの活動は、ほとんど同じ教員によって行われ、これらの教員がコアとなって実施してきたが、退職などによって従来関わっていた教員が徐々に減ってしまったことや、他の業務が忙しくなったこと等で、これまでと同じように活動を維持することが難しくなってきた。 そこで、カリキュラムの改定などを期に、「社会貢献活動」は、専門教育から「学士力」や「社会人基礎力」といわれる多文化理解,社会と自然に対する理解,コミュニケーション・スキルなどの獲得へと主目的が変化している。また現在は、社会貢献活動支援室に特任講師を迎え、「社会貢献活動」を教員として中心的な役割を担っていただき、業務を実施していただいている。 社会貢献活動連絡協議会 主査 電気電子工学科 教授 水谷 光 20周年特集 社会貢献活動のあゆみ

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