2024年度 調査報告書
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チームFUJISAWA2020は、2021年のスタート当初からスポーツにとどまらず、地域活動全体を支える基盤としてボランティア活動を位置付けてきた。2023年からは大学との協働運営体制とし、他組織・他分野との連携を強化し、若い世代の視点を活かした参画を促進している。これらの活動は相互に影響し合い、地域全体での好循環を生み出している。その特徴的な点を以下に整理する。 ① 中長期的戦略に基づくボランティア基盤の構築 ボランティア活動を地域に根付かせるには、中長期的な視点に基づく地道な取り組みが不可欠である。設立準備段階から行政が主導し、ポータルサイトを構築し、ボランティア募集情報を募集団体が発信し、ボランティア活動に参加する登録会員に届ける枠組みを整え、行政やNPO法人、市民団体などが募集団体として参加し、多種多様なボランティア情報を発信することで、持続的な運営体制を確立している。この仕組みにより、多様な主体の参画が促進され、市民の自主的な活動が活性化し、ボランティア文化の定着につながっている。さらに、行政が長期的な視点で調整役を担いながら、地域全体で支え合う好循環を生み出し、柔軟かつ効果的な活動基盤を構築している点が特徴である。 ② 他組織・他分野との連携による多様な活動の展開と市民参加の促進 地域の課題に対応するためには、行政だけでなく、多様な組織との連携が不可欠である。市民自治推進課が調整役となり、大学など他組織や他分野と協働することで、単独では実現が難しい多様な活動を展開し、市民が関心や得意分野に応じて参加できる環境を整えている。特に、市内の団体や行政との協力体制を強化し、地域全体で支え合う仕組みを構築することで、活動の幅が広がり、地域の支援体制の充実につながっている。このような公民協働の枠組みによって、ボランティア活動の質と量が向上し、持続可能な地域づくりが進められている。 ③ 官学連携による若者の参加促進 また、この取り組みは地元の大学や団体と連携することで、若年層のボランティア参加を促進している。特に、大学との協働を通じて、若者の視点や発想を地域活動に取り入れることで、新たな事業の創出や地域活動に活力をもたらしている。若者が活動の魅力を発信し、新規参加者を呼び込む工夫を行うことで、次世代の関心を引き担い手の確保につなげようとしている。市の予算で運営しつつも、行政主導に依存せず、大学の自由な発想を取り入れ市民が主体的に関与できる仕組みを整えることで、持続可能な運営を実現している。このような官学連携の取り組みにより、地域活動への若者の関心が高まり、支え合いの文化の形成が進んでいる。 チームFUJISAWA2020の運営において、登録者数の増加は見られる一方で、実際の活動参加率の向上が重要な課題となっている。参加の敷居を低くし、市民が気軽に参加できる仕組み作りが求められる。具体的には、短時間で参加しやすい活動を提供したり、ボランティア参加者や登録団体の活動の情報を発信したり、ポイント制度を導入して継続的な参加を促進したりするなどの方法を検討中である。 特に、福祉分野など専門性や責任の度合いに不安を感じやすい領域については、簡単な活動から関わりを持てる環境づくりが必要である。さらに、情報発信とマッチングの強化も重要な要素である。ウェブサイトを活用した団体登録や情報発信の支援を強化していくことも必要である。 総括 (1) まとめ (2) 持続可能な運営体制の確立に向けた課題と展望 20

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