2024年度 調査報告書
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川崎フロンターレボランティアの特徴は、ボランティアに権限と裁量を持たせ、主体的で柔軟な運営体制を構築している。チューターやリーダー制度を導入し、フラットで学び合う文化を育んでいる。このような特徴的な運営体制を支えつつ、地域社会との深いつながりを強化し、ボランティア活動の意義を高める一方で、世代交代や若年層の参加促進が課題となっている。その主なポイントを以下にまとめる。 ① 地域との深いつながりを築く多様な活動 川崎フロンターレのボランティア組織は、ホームゲームの運営支援にとどまらず、地域イベントや医療施設訪問など、地域社会への貢献活動を幅広く展開している。クラブと地域の絆を強化するさまざまな場面でボランティアが活躍している。これにより、ボランティア自身は地域への貢献意識を深め、地域社会の一員としての誇りを感じることができる。また、自治体や地域団体との積極的な連携を通じて、地域の活性化に貢献している。地域社会とクラブが一体となることで、クラブが目指す「ホームタウンとの融和」を実感しながら、より豊かなスポーツ環境の醸成にも寄与しているとともに、多様な組織と連携しながら地域社会との結びつきを強化し、ボランティア活動の意義をさらに高める役割を果たしている。 ② 主体性を重視した柔軟な運営体制 本組織では、ボランティアが主体的に活動できる環境を整えており、チューター制度やリーダー制度を導入して固定的な上下関係を排除し、柔軟な運営を実現している。役割分担は流動的であり、経験に応じた裁量が認められるため、個々のスキル向上とモチベーション維持が促進される。このような運営体制が継続的な参加を促し、組織の持続可能性を支えている。チューターやリーダーの研修はOJTを通じて行われ、実務を通じてスキルを向上させるとともに、権限が委譲されることで責任感と自信が育まれ、主体的な活動へとつながっている。 ③ ボランティアの継続と世代交代の課題 多くのボランティアが長年にわたり活動を続けている一方で、全体的な高齢化が進行し、特に若年層の参加が減少しているという課題が浮き彫りになっている。次世代の参加促進が急務であり、若年層が参加しやすい環境づくりや段階的なリーダー育成制度の強化が必要とされている。現時点では、活動規模に見合った会員数を維持することが最優先されており、年齢構成を意識しつつ、規模拡大よりも現在の活動に最適な会員数の確保が重要と考えられている。 川崎フロンターレのボランティア組織は、柔軟で信頼関係を重視した運営により、活動を安定的に続けてきた。しかし、持続可能な運営には次世代のリーダー育成と若年層の参加促進が不可欠である。現在、会員全体の高齢化が進んでいるため、若年層の増加が課題となる。また、自治体や企業との連携をさらに強化し、幅広い世代が参加しやすい体制を築くことが、ボランティア活動の持続的な発展を支える鍵となる。 (1) まとめ (2) 持続可能な運営体制の確立に向けた課題と展望 総括 27

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