2024年度 調査報告書
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(2) 持続可能な運営体制の確立に向けた課題と展望 ①多様な関わり方を用意 ボランティア活動に関わるハードルを下げるため、「SV会員」、「サポート会員」、「準会員(学生)」という多層的な会員制度を導入している。短期参加や支援のみの関わりも可能とすることで、多様な人材が参加しやすい仕組みを整えている。 ②ボランティアの「やりがい」を引き出す組織運営 東北楽天ゴールデンイーグルス、仙台89ERSなどの地域密着型プロスポーツチームと協働し、スポーツイベントのサポート機会を提供。ボランティアとして参加することで、地元チームを支える実感が得られ、活動のモチベーション向上につながっている。 また、ボランティアが主体的に活動できる環境を重視し、運営補助にとどまらず、計画や改善提案に関与できる機会を提供している。活動後のフィードバックを組織運営に反映し、経験者が新規参加者を支援する「伴走型サポート」を導入。これにより、ボランティアのやりがいや成長実感が向上し、世代を超えた継続的な活動の循環が生まれる好循環を実現している。 ③中高生向けスポーツボランティア育成の取り組み 2014年から「中高生スポーツボランティア育成講座」を実施し、スポーツマネジメントやボランティア論を学ぶ機会を提供。実際のスポーツイベント運営にも参加できる仕組みを整え、修了者には認定バッジや修了証を授与し、活動意欲を高めている。 また、若年層のリーダー育成のため「サブリーダー制度」を導入し、経験を積みながらリーダーへ成長できる環境を整備。中高生が主体的に関わる機会を増やし、次世代のボランティアリーダーを育成している。さらに、リレートークイベントやリーダー研修を通じて、先輩リーダーと若年層の交流を促進し、成功事例を共有している。多くのボランティア組織の課題である人材不足に対する方策として、研修やリーダー制度を活用した、持続可能な育成体制の確立が求められる。 ④スポーツの枠を超えた地域連携モデル スポーツイベント支援にとどまらず、災害復興や地域活性化にも積極的に取り組んでいる。東日本大震災ではスポーツ交流イベントを開催し、被災地の子どもたちを支援。また、環境保全活動とも連携し、スポーツイベントを活用したゴミの分別啓発などのエコ活動を推進している。全国のスポーツボランティア団体や行政、企業と連携し、活動の発展性を高めている。スポーツを通じた社会課題の解決は、ボランティアのモチベーション向上にも寄与している。 SV2004は、多層的な参加モデルと広範なネットワークを活用し、持続可能なボランティア組織の先駆例として発展してきた。一方で、今後の継続的な運営に向けては、高齢化が進む中で若年層の参加をいかに促進するか、また資金や運営支援の安定確保が大きな課題となる。 今後はグランディ・21ボランティアの統合など、変化する社会環境に対応しながら、組織の柔軟性と適応力をいかに高めていけるかが鍵となるであろう。これにより、地域と一体となったスポーツボランティアの新たなモデルを構築し、他の地域にも波及する先進事例としての役割を果たしていくことが期待される。 35

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