2024年度 調査報告書
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山口県におけるスポーツボランティア活動は、2006年に登録制度が設けられ、2011年の「おいでませ!山口国体」を契機に本格的に組織化された。国体終了後、登録を希望するボランティアの名簿は市町に移管され、現在も「おもてなしボランティア」や「競技ボランティア」として、各種スポーツ大会の運営支援や観客対応などの活動が継続されている。しかし、登録者の高齢化が進行しており、持続可能な運営体制の構築が課題となっている。また、組織間の連携が十分に確立されておらず、活動の範囲が主にスポーツイベントに限定される現状もある。 こうした状況の中、近年の部活動の地域移行を背景に、スポーツボランティアの役割が再評価されつつある。特に、競技大会の運営支援や青少年スポーツ振興の観点から、ボランティアの活用が期待されている。組織化から10年以上が経過した現在、持続可能な運営体制の確立が急務であり、地域のニーズや課題に即した新たなボランティア活動のあり方を検討する段階にきている。 本稿では、県と市町のスポーツボランティア活動の現状と課題をより深く検討するために、周南市の取り組みを取り上げ、地域レベルでの活動の実態や運営の課題についても分析を行った。 山口県におけるスポーツボランティアは、県と各市町の生涯スポーツ主管担当課が連携し、各種スポーツイベントで、大会運営補助、観客案内、清掃業務などを担う。ボランティア募集は、市町が保有する登録者名簿を活用し、県が案内を送付する方法で実施されている。2023年度は、県と19の市町が実施するスポーツイベントや講習会において、年間69の活動にボランティアが参加した。 1.周南市の活動内容 周南市のスポーツボランティアは、「おもてなしボランティア」として、市内で開催される各種スポーツ大会で来訪者のサポートを行っている。具体的な活動として、体育・文化施設の案内、観光パンフレットを活用した情報提供、館内の環境美化、総合案内業務、各種ブースの運営補助などがある。特に、10月の「しゅうなんスポーツフェスタ」では、来場者の円滑な参加を支援するため、総合案内業務やブース運営補助を実施。年間を通じてバスケットボール、柔道、ハンドボールなどの大会を支援し、地域の魅力を発信しながらスポーツを通じた交流の促進に貢献している。 山口県スポーツボランティアの概要 主な活動内容 設立経緯:メガイベントのレガシー活用 活動継続:大型イベントを中心に活動の継続 運営体制:県から各市町へ登録管理の運営移管設立年2011年運営主体山口県観光スポーツ文化部スポーツ推進課、(公財)山口県スポーツ協会、県内各市町生涯スポーツ主管担当課登録者数1,021人*県内全数(2024年)主な財源なし36  事例5.山口県・市町のスポーツボランティア 部活動地域移行でのスポーツボランティアの活用可能性 ~持続可能な運営体制の構築に向けて~ 山口県スポーツボランティア【団体概要】

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