スポーツボランティアの制度化は、2006年に山口国体の開催準備の一環として開始された。これは、スポーツイベントの人的資源確保だけでなく、地域社会におけるスポーツ振興の促進と持続可能なボランティアネットワークの構築を目的としていた。また、国体終了後のボランティア活動の継続についても、事前の計画段階から検討が進められていた。 具体的には、国体終了時に登録ボランティアへ継続参加の意向を確認し、希望者の名簿を各市町へ移管する仕組みを導入。このプロセスは、2007年10月に設立された「おいでませ!山口国体きらめきセンター」(NPO法人が運営)により実施され、ボランティア活動の継続性を確保する役割を果たした。 1.山口県の活動について 県の観光スポーツ文化部スポーツ推進課、(公財)山口県スポーツ協会、各市町の生涯スポーツ主管課が連携し、地域のスポーツ振興を支えている。特に競技大会の運営では、教育委員会や地域スポーツクラブとの協力が不可欠であり、地域社会全体の関与が求められる。現在、登録者数は1,021人にのぼるが、高齢者が大多数を占め、持続可能な運営が課題となっている。今後は、部活動の地域移行に対応した支援やボランティア活動の多様化が求められ、新たな体制の構築が必要となっている。 2.周南市の活動について 周南市のスポーツボランティアは、市がスポーツ協会に委託して運営され、市の予算で支えられている。毎年初めに大会日程を提示し、活動希望者へ郵送で通知を送付し、参加者を決定する方式を採用している。現在、新規参加者の募集は行われておらず、既存のボランティアメンバーを中心に活動が継続されている。 山口県および各市町では、ウェブサイトを活用し、スポーツボランティア登録の周知を行っている。登録希望者は、県や市町のウェブサイトから「スポーツボランティア登録票」をダウンロードし、必要事項を記入のうえ各市町へ郵送で申請する方式を採用している。研修については、県はリーダー養成、市町の生涯スポーツ課が地域ごとに自主的な研修を行っている。しかし、研修内容や実施頻度にはばらつきがある。総合型地域スポーツクラブでは、クラブマネージャー向けにボランティア管理や活用に関する講義が行われており、間接的にボランティア活動を支援する役割を果たしているが、ボランティア育成の研修とは異なる。 今後の人材確保・育成には、地域ごとの課題やニーズを踏まえ、新たな仕組みづくりの検討が求められる。 周南市では、スポーツボランティアの役割が重要視される一方で、人材不足や運営体制の不確立といった課題が依然として存在している。 現在、スポーツボランティア活動は一定の成果を上げているが、2026年に予定されている中学校部活動の地域移行に伴い、持続可能な運営を確保するための課題が浮上している。特に、競技大会運営に必要な人材不足が懸念されており、ボランティア活動の体制強化が求められている。この問題は周南市だけでなく、県内各市町においても共通する課題となっている。そこで、県と周南市の視点から課題を整理し、今後の方向性を以下に示した。 組織の沿革 運営方法 ボランティア人材の確保・育成 ボランティア活動における現状・課題と今後の方向性 38
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