5 日本ボランティアコーディネーター協会の「ボランティアコーディネーション力検定」や日本財団ボランティアセンターの「スポーツボランティア研修」などがある。 ②スポーツを通じた他分野のボランティア組織との連携 スポーツボランティア組織単体での活動にとどまらず、健康増進、教育、世代間交流など、スポーツがもつ多様な効果を活かし、福祉、防災、環境活動などに取り組む既存のボランティア組織と連携する。各分野と共にスポーツを掛け合わせた活動を共創することで、他分野のボランティアの取り組みを活性化し、地域の課題解決に貢献する。 ③リーダー/コーディネーター人材の育成 ボランティア活動を持続的かつ発展的に展開するうえで、リーダーやコーディネーター人材の育成は不可欠である。単に自らが意欲的に活動するだけでなく、仲間と協力しながら活動の質を高め、組織の運営にも主体的に関わることのできる「人と人、組織と組織を結びつける力」がある人材が求められる。 こうした人材が地域に存在することにより、①と②で示したような地域スポーツ組織や他分野のボランティア組織との連携・協働が可能となる。特に、他者と連携し調整を図る力や、組織全体を俯瞰する視野を持つことが重要であり、そのための育成の場としては、独自の研修に加え、既存のボランティア活動・市民活動に必要なリーダーシップや調整力を体系的に学べるプログラム5も有効である。ただし、研修の受講や資格の取得を目的化するのではなく、リーダーやコーディネーターの資質を備えた人が、継続的に学び、成長できる機会を提供することが重要である。 ④定期的な活動の振り返りと理念の共有 ボランティア活動を継続する中では、マンネリ化や組織の硬直化といった課題に直面することが少なくない。これを防ぐためには、単なる報告書の作成や形式的な活動報告にとどまらず、活動の振り返りと理念・目的の再確認を通じた「内省的な振り返り」の場づくりが重要である。例えば、年次総会や定例会の中に、ワークショップや対話の手法を取り入れ、メンバー一人ひとりが自らの活動の意義や、組織の理念・ビジョンを再確認する機会を設けることが効果的である。こうした場を通じて、活動の意味づけが深まり、メンバーの意欲や誇りが引き出されるとともに、組織としての柔軟性と対応力も高まる。 理念や目的の共有は、メンバー間の信頼関係を築き、有事(例えば、災害時など)にも対応できる柔軟な地域力の基盤となる。内省と共有のサイクルは、ボランティア一人ひとりが主体的に活動し続けるための土壌を育み、地域に根差した持続可能なボランティア組織の形成を支える鍵となる。 54
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