学報79号
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本学が新型コロナウイルス感染症の影響下(以下:コロナ禍)においてどのような取り組みを行ってきたのか、振り返るとともに今後の展望についても述べたいと思います。日本で初めて新型コロナウイルス感染者が確認されたのは、1月中旬のことでした。それ以降、コロナ禍において本学が最重要視したのは、「できることを継続しよう」ということでした。大学によっては4月の新年度以降、授業開始を遅らせるなど学修環境を正常化させるまでに1カ月ほど要するケースも珍しくなかったとメディアで報じられています。そのような中、私たちにとって幸いだったのは、2013年から進めてきた教育改革を通じて、インターネットを介して授業の課題や資料をやり取りするLMS(Learning Management System)のMoodle(ムードル)をすでに整備していたことです。また、全学生を対象にGoogleアカウントを配布していたことから、ビデオ会議アプリケーションの「Google Meet」をスムーズに利用できた点も挙げられるでしょう。改めて本学の教育改革の主旨を確認すると、その内容は次の通りです。02・授業への出席を最重視し、うながす・教員は学生の興味関心と学ぶ意欲を高める授業を行う・基礎を固める教育を重視する・成績評価や進級要件の適用は厳格に行う・社会人基礎力を高めるよう教員は注力するオンライン授業であってもこうした方針を遵守し、かつ、学生の満足度を損なわないように心がけました。そうした背景もあり、2年次生以上は学年暦とほぼ同じスケジュールで、1年次生については1週間ほどの遅れを経て、授業を開始することができました。学生のほとんどがスマートフォンを所有していることを想定し、少なくとも同機器を利用すれば受講できる授業設計を心掛けました。とはいえ、すべてが順調だったわけではありません。私自身3つの授業を担当していましたが、当初は大学側・学生側双方において機器やソフト上の想定外のトラブルに遭遇し、5月の半ば過ぎぐらいまでは学生の皆さんに迷惑を掛けてしまうこともしばしばでした。湘南工科大学 副学長・工学部長 「できることを継続しよう」でスムーズな授業運営を実現オンライン授業の振り返りと新しい大学での生活様式木枝 暢夫コロナ禍における大学の取り組み

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