学報79号
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05 コンピュータ応用学科安全・安心に利用できる自動運転システムの実現を目指す 完全な自動運転を実現する技術進化の途中段階として、自動運転では対応できない不測の事態が発生したときなどに、ドライバーに運転操作を代わってもらう「テークオーバー」が発生します。研究室では、ドライブシミュレーターを使った実験を行い、周辺視野域に視覚的な刺激を提示することによりテークオーバーに対するドライバーの準備態勢が変化することを見出しました。この研究結果を利用して、緊急時に安全にテークオーバーが行えるシステムを実現したいと考えていますが、実際のシステムに搭載するためには課題があります。一つは、自動運転ではいろいろな状況が想定されますので、あらゆる場面で効果を検証する必要があります。もう一つは、ドライバーによって反応が違いますのでどの人にも同じように反応できる視覚的刺激の表示方法の開発です。このような要素技術の研究や基礎的な研究に取り組めるのは、本学ならではの魅力です。 自身で仮説を立て、検証していく。それを自主的に行い、自ら学べるようになる。本研究室での卒業研究を通じて、身につけてもらいたい一生モノの経験です。 総合デザイン学科ロボットと暮らすことで、高齢者の生活に安心を 超高齢化社会である日本では、介護は重要な社会課題です。例えば、認知症の患者さんが家にいる場合は目を離すことができず、介護する側の負担はかなり大きいものになります。本研究室では高齢者生活支援ロボットの研究をしており、高齢者の後をついて回って見守るロボットSITTER(湘南工科大学を表すSITと付添人を表すsitterから命名)の研究がその一つです。画像認識技術により人物の動きや周辺の状況を認識し、障害物などを避けて動きます。ついて回ることで高齢者がトイレに行き、通常より長い時間を要している場合などに声をかけ、返事がなければ家族やスタッフに連絡するという見守りを可能にしたいと考えています。また、歩き方で人を認識する歩容認証技術を応用し、暗くて画像認識の難しい場合でも高齢者を特定して見守れるよう研究しています。 これ以外にも自分で設計し、3Dプリンターなどで製作して、動かすというロボットをメカトロニクス教育の一環として開発しています。 「ロボットを動かしたい、作りたい、人工知能をロボットに適用したい」という皆さんはぜひ一緒に研究しましょう。 人間環境学科工学的知識を身につけ、人間や環境への理解を深めてほしい 湘南工科大学は、多くのサーファーでにぎわう湘南海岸まで約300m。この環境を生かし、サーフィンやダイビングの授業も行われています。研究面においても、サーフィン経験者の学生の協力を得て、サーファーを対象とした研究に取り組んでいます。陸上で筋電計をつけてパドリングやテイクオフ、ライディングなどの動作時の筋肉の動きなどを見ています。また、ストレス、乳酸値、血管の柔らかさなどを確認し、さまざまな方面からサーファーの動きや身体的特徴を明らかにしたいと考えています。今後は筋電計に防水対策を施した上で、海でサーフィンをしているときの動きを測定する予定です。スポーツや人体のことは体育系の学部でしか勉強できないと思う人もいますが、研究に使う測定機器や超音波などの検査機器はどれも工学的知識の集積です。 私はスポーツ医学が出発点でしたが、本学で工学や情報系の先生方と出会い、新たな発見もありました。医療系に強い先生もいますので、連携して新たな分野に挑戦することも可能です。研究を通じて、工学、医学、スポーツ、環境と、幅広い方向に道が開ける環境です。湘南工科大学×SDGs湘南工科大学は自然豊かな湘南の地にある工科大学の特色を生かし、持続可能な社会の実現に貢献する次代の技術者を育成するとともに、湘南地域に貢献できる教育・研究も推進していきます。高橋 宏 教授[ 研究テーマ ]実現が近い自動運転車両を安全に安心して快適に利用できるための技術課題の解決尾﨑 文夫 教授[ 研究テーマ ]人と共存し、人の役に立つ生活支援ロボット野上 佳恵 准教授[ 研究テーマ ]心機能と運動耐容能に関する研究THE SHONAN

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