学報82号
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SHONAN INSTITUTEOF TECHNOLOGY知識と社会人基礎力を育むアクティブラーニングを展開コロナ禍における本学の取り組み新学部の誕生で全学的な波及効果を学長 この4月から学長に就任した木枝です。これまで9年間にわたり工学部長として大学運営に携わってきました。就任のご挨拶とともに、本学の取り組みや今後の展望についてお話したいと思います。 本学のミッションは、「社会に貢献する技術者の育成」です。この目標に向けて、2013年度から教育改革を進めてきました。教育改革の要(かなめ)となるのは、アクティブラーニング(AL)を中心に据えた学びです。例えば、1年次で履修する科目のうち97%が、グループワークやプレゼンテーションを含むALです。ALによって知識や技術が定着するとともに社会で求められる社会人基礎力、つまりコミュニケーション力や協働力といった能力も身につくという、教育効果が絶大な一石二鳥の取り組みです。学生への授業評価アンケートでも、高い評価を得ています。 2020年度はコロナ禍によってALを従来通り展開することが危ぶまれましたが、前学期は4月当初から主要科目を同時双方向型の遠隔授業で実施し、さらに後学期は遠隔授業を原則同時双方向とした上で週に1、2日の対面授業を加えることで、何とか教育の質を維持することができたと自負しています。工学系の大学であるため基本的にICT(情報通信技術)スキルが高いことに加え、熱意ある教員がそろっていることのたまものだったと思います。 2021年度には、感染対策を徹底しつつ対面授業を全面的に再開しました。学内での感染リスクを抑え安心して対面授業を行えるように、教職員と学生に向けた新型コロナウイルスワクチンの「職域接種」にいち早く応じ、6月から8月にかけての02早い段階で実施できたことも幸いでした。 とはいえ、感染症対策を行うため人と人の距離を保つなどの配慮が必要であり、従来とまったく同じようにALを実践することは残念ながら未だ不可能です。それでも学生へのアンケートを分析する限り、授業に対する満足度や目標の達成度はほぼコロナ禍以前のレベルまで戻っています。 来年度の話になりますが、データサイエンスを扱うエンジニアを求める社会からの要請に応え、2023年度4月に従来の工学部の情報工学科とコンピュータ応用学科を統合した情報学部を新設します。人工知能専攻、情報工学専攻、情報メディア専攻の3専攻の体制となる予定です。 1963年の開学以来長らく工科系単科大学だった本学が、工学部機械工学科、電気電子工学科、総合デザイン学科、人間環境学科に、情報学部情報学科を加えた2学部5学科体制に生まれ変わるという大きな節目を迎えます。 情報学部という新しい教育・研究の場が誕生することは、必然的に工学部にも波及効果がもたらされます。データサイエンスはあらゆる分野において利活用が求められる時代となっており、工学部のカリキュラムにおいてもデータサイエンス教育がこれまで以上に組み込まれることになるでしょう。 学科横断型学修プログラムを展開するなど、伝統的に学科を超えた「学び」を可能としてきた本学ですから、学生にとっては学部を超えた複合的な「学び」も可能となります。情報学部の新設によって本学がどのような教育と研究を展開していくのかご注目いただくとともに、今後もご支援のほど、よろしくお願い申し上げます。木枝 暢夫THESHONAN

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