03社会を支える技術を誇り、未来を創る面白さを工学に見出してほしい研究者・技術者として成長できる環境を整え学生の意欲に応える学生が自ら課題意識を持ち、解決に向けて学んでいける環境へ昨年度も就職は堅調であり、「横断型先端分野学修プログラム」への参加など意欲的に学ぼうとする学生の増加をうれしく思う一方で、18歳人口が減少していく中、本学が魅力ある大学であること、そしてその魅力を余すことなく伝えていくことが非常に重要な課題であると受け止めています。2027年度に予定している工学部の改組は、そのための大きな挑戦の一つです。現在、準備段階ではありますが、学科制から専攻制への移行など、学生一人ひとりが興味関心や希望する将来像に合わせて自分自身で学びのデザインができるような学修システムの構築を中心に、地元企業との連携による社会とのつながりの強化などにも力を入れていきます。改組に先んじて在学生にフィードバックできるものがあれば、取り入れていきたいと考えています。2023年度に情報学部が開設されたことから、工学部ではより本質的な“モノづくり”教育に力を入れています。理工学の基本的な知識とスキルを学部の学生全員がしっかりと身につけ、日々進化していく技術に合わせて常にアップデートしていく力を持ったエンジニアを育てていきたい。今の世の中を作り出し、発展させている根幹は工学の技術です。ロボットや自動運転車はもちろん、AIもインターネットも、その骨格となっているのは工学です。学生には社会のインフラを支える技術者としての誇りを持つとともに、未来を自分たちの手で作り出していくという面白さを見出してほしいですね。少子高齢化の進む現在、より高度な知識やスキルを持つ人材の育成は国の方針でもあり、昨年度に中央教育審議会がまとめた答申の中でも「大学院での高度な教育を受けたより多くの修士・博士人材が多様なフィールドで活躍する社会の実現が欠かせない」と述べられています。産業界では機械学習やシミュレーションといった情報技術の進展により、機器の開発方法が大きく変化しており、またそれらを基にした応用技術の進歩も早まっています。本学大学院には従来の基板技術に加えて、人工知能や数値計算工学を専門とする教員がこれらの知識を教えており、多くの修了生がそれらの知識を基に、各技術分野の代表的な企業で活躍しています。本学では研究の面白さに惹かれて進学する学生が多いことが特徴です。私自身大学院生の頃に自分のアイデアを実現できる研究活動が面白く感じ、その時の経験は今でも自身の仕事のバックボーンになっているため、大学院は「教科書の先を自らの研究で解き明かす」という研究の本質に触れる貴重なステージだと考えています。国内外のシンポジウムでの研究発表や、技術系コンテストに参加するチームを率いる学生も多く、修了時には研究者・技術者としてたくましくなり巣立っています。私たち教員は、未来を見据えてより良い学修内容や研究環境を整えるとともに、推薦入学者への授業料減免制度などさまざまな面から、学生の意欲を後押ししていきたいと思います。副学長 兼 工学部長森井 亨今年度、情報学部は開設3年目を迎えます。学生全体の動向としては、情報学部は新しい学問分野であることもあり、本学部の新入生の入学時点での興味関心はゲームや動画配信等に集中しています。しかし、1年次に本学科で扱うICTの10分野すべての実習を経験することで、2年次になるとAIやデータサイエンス、認知情報学といった幅広い領域へと興味関心を広げ、そこから自分の学びたい方向性を模索してくれることはとても嬉しいですね。また、2年次の選択必修科目「情報学課題解決実習」を履修した学生たちの初回プロジェクトが終了し、今年度も多くの学生の履修希望が集まったことに手応えを感じました。大学での学びは高校までとは異なり、自ら課題意識を持って取り組むものです。今後は他大学や企業とのコラボレーションなど、より社会とリンクした実践的なプロジェクトへ参加の機会を広げていきます。活動スペースとなる「SIT Garages(SITガレージ)」もオープンしました。課題解決型実習での利用を想定しており、現在は、主に「情報学課題解決実習」の学生がグループワークをしています。学年や専攻の枠を超えた学生が集まるとともに、教員も気軽に立ち寄って学生と交流するスペースとなり、ここを起点に新たなプロジェクトが立ち上がるくらいに発展していってほしいと願っています。大学院工学研究科長北洞 貴也情報学部長二宮 洋
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