学報89号
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SHONAN INSTITUTEOF TECHNOLOGY04念願の大会出場、そして果たせなかった悔しさ部活動で培った経験と能力を将来に生かす学生フォーミュラ日本大会とは? 学生たちが、小型フォーミュラスタイルの車両を自ら企画・設計・製作して、モノづくりにおける総合力を競う工学的技術の教育競技会です。大会の審査種目は「車検」、事前に提出した書類と実際の車両を基に審査する「静的審査」、コース上で車両を実際に走行させる「動的審査」の3つで、技術力や車両の性能だけでなく、車両コンセプトや設計、コストなど、開発に関わるすべての要素が審査対象となります。毎年9月に愛知県常滑市のAichi Sky Expo(愛知県国際展示場)で開催されており、自動車技術分野で活躍を目指す学生にとっての最大規模のコンテストです。(この取材は2025年9月30日に実施しました)湘南工科大学 学生部長(情報学部 情報学科 教授)尾上さん:長尾さん:今井さん:進めるよう、努力を重ねたいと思います。これほど情熱を傾けて頑張った経験は、今までの人生ではありませんでした。結果として大会出場が叶ったのは、自分にとって貴重な成功体験となりました。卒業後の社会人生活において、この経験が自分の支えになってくれると思います。私は自動車関連の企業に就職します。学生フォーミュラ部で試行錯誤した経験は、社会人となってからも生きてくると思いますし、またいずれは企業側の人間として、学生フォーミュラの活動を支援する立場になれたら良いなと考えています。大変なことばかりの部活動でしたが、少しの困難では挫けない根性が養われました。また主将として活動する中で、部内をまとめる統率力や広い視野、コミュニケーション能力も身についたと感じています。こうした多くの財産を糧にして、今後の社会人生活も頑張っていきたいと思います。堀越 力THESHONAN今井さん:9月8日の大会初日、自分たちの車両を置くピットが用意されているのを見たときの興奮は、言葉では言い表せません。「大会出場という目標が叶った」という実感で胸が一杯になりました。尾上さん:昨年度も出場はできなかったものの、大会見学のために会場に行っていました。ずらりと並ぶ各大学の車両を見て、「来年は観客ではなく、参加する側になろう」と強く思ったのをよく覚えています。長尾さん:念願を果たすことができ、ほっとした気持ちになりました。とはいえ、大会中に車両が壊れてしまい、車検を突破できませんでした。実際に車両を走行させる動的審査を行うことはできず、達成感とともに悔しさの残る大会となりました。小阪さん:私たちのチームは大会に出場することで精一杯でしたが、他大学のチームでは出場は一つの通過点にすぎず、「大会本番でどれだけのパフォーマンスを発揮できるか」に照準を定めて活動していました。部としての力不足を実感させられました。私は次期主将に就任する予定なので、来年こそは動的審査に SITチャレンジ制度は、学生の創造的な企画を大学が資金面、施設・設備面から応援するものです。 SITフォーミュラプロジェクト以外にもこの制度を活用し、実現したい夢に向かってさまざまなプロジェクトに挑戦している学生たちがいます。 湘南工科大学では、意欲ある学生の挑戦を積極的に応援するために「SITチャレンジ制度」を設けています。本制度は、競技会やコンテストなどで上位入賞を目指すことを条件に、学生が自らの発想で創造的な技術開発に取り組む活動を支援するものです。出場に必要な機材製作費や大会参加費の一部助成など、挑戦を具体的に支える体制を整えています。毎年、審査会を通過した団体がそれぞれの目標に向かって熱心に活動しており、学生フォーミュラをはじめ、宇宙エレベーターチャレンジ、つくばチャレンジ(自律走行ロボットコンテスト)、スターリングエンジンのテクノラリー、アマチュア無線コンテストなど、全国規模の大会で多くの学生が力を発揮してきました。学生が自らの力を信じ、仲間とともに成長していく姿こそ、本学のタグラインである「やりたいことを、できることに。」を体現するものと考えています。これからも多くの学生が新たな挑戦に踏み出してくれることを期待しています。SITチャレンジ制度

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