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電気電子工学科 成田 知巳 教授


落雷の脅威から暮らしを守る

[研究テーマ] 電力設備の耐雷設計・保守高度化に関する研究

手作りの装置で落雷の位置を探る試み

社会インフラの基盤となる送電、変電、配電設備などの電力系統にとって最大の脅威は雷です。落雷による停電で不便を強いられた方も少なくないでしょう。雷の脅威から私たちの暮らしを守るため、落雷の位置情報をキャッチしてデータ活用する取り組みを2017年から進めています。

もともと電力会社で研究と保守業務に携わってきた経験から、落雷による設備の故障や損失という問題および、落雷位置情報の重要性は認識していました。
本学に着任後、手作りした装置で落雷の位置情報を受信するシステム開発に取り組めば、学生たちと研究の面白さを共有できるのではないかと考え、研究をスタートしました。システムは、落雷時に発生する電磁波を受信し、位置情報を取得するというのが基本的な仕組み。さっそく学生が作った観測装置を大学の屋上に設置して装置の特性を測定し、改良を重ね、知人や親戚の家などに受信局を設置していきました。

落雷位置標定システムを国内から世界へ

こうした経緯から、インターネットを介して共有する落雷位置標定システム(LLS)」の受信局を日本で初めて本学に設置することになりました。
現在では、受信局の設置数は国内全域53カ所、東南アジア・オセアニア地域20カ所にまで拡大しています。

本学と全国の各大学および電力会社による「産学」に加え、2020年からは海上保安庁に落雷位置情報の提供を開始するなど「官」も交えた連携へと発展し、より一層大規模で精緻なデータ提供・活用の実現を目指しています。今後はLLSの受信局をさらに国内に張り巡らせ、アジア地域への増設も検討する一方、スマートフォンで落雷位置が観測できるアプリの提供も予定しています。
現在はコロナ禍のため海外で受信局を増設することは難しい状況ですが、事態の改善によってネットワークの拡大が進み、落雷による被害が減っていくことを願っています。

電力インフラ維持に貢献するロボットの開発

LLSと並行して取り組んでいるのが、「架空地線点検ロボットの開発」です。
「架空地線」とは、雷を受け止め、停電を防ぐとともに、電線を保護する装置のこと。この架空地線が落雷により一部が溶けてしまう場合があります。その場合に異常箇所を探るのは現状、人の目視点検によって行われています。異常がなくても、通常の保守作業は人力です。作業員が鉄塔に昇るなど、地道で手間を要し、かつ、高所・高電圧という危険な作業を行うことによって電力インフラは維持されているのです。
完全に機械化・自動化が進んでいると思っている方がいらっしゃるかもしれませんが、このように送電線の異常箇所を発見するのは非常に困難なのです。そこでロボットによる自動点検を実現しようとさまざまな研究機関や企業がチャレンジを試みていますが、いまだ実用化はなされていません。本研究室では架空地線上の障害物を乗り越えて点検するロボットの開発に、電力会社と共同研究を実施しています。その結果、電線の異常検出方法に関して、特許の取得にも成功しました。
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