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情報学科 情報メディア専攻 井上 道哉 助教


[研究テーマ] 文化財のデジタル化、モバイルコミュニケーションシステムに関する研究

CG・ゲームへの好奇心から文化財のデジタル化の世界へ

大学でCGやゲーム制作について学ぶため、本学のシステムコミュニケーション工学科(現・工学部 コンピュータ応用学科)に入学、長澤可也先生の指導のもとで学んできました。
鎌倉市が永福寺を3DCGで復元したいという呼びかけに、当時、長澤研究室の大学院生だった私たちが手を挙げたのは2005年のこと。これが大きな始まりになったと思います。
永福寺は源頼朝が創建し、鎌倉幕府の権威の象徴ともいうべき大寺院でしたが、1405年に焼失しました。現在は国史跡「永福寺跡」として基壇のみが復元されており、在りし日の壮大な姿を見ることはできません。そうした歴史的に重要な建築物を復元する取り組みであるため、発掘調査報告や寺院建築の様式など、さまざまな資料から、どのような姿であったのか、可能な限り推定を行った上で3DCGに復元を行っています。
この制作方式では、文化財の3DCGは一度作れば終わりではありません。3DCG化することで姿形をイメージしやすくなるため、資料のみではわかりにくい、矛盾した部分なども発見されます。そうすると、せっかく制作した3DCGを作り直すこともあり、実際に永福寺は10年以上、何度もアップデートを重ねていて、NHKなどのテレビ番組でも使用されるほど、妥当性の高いものができました。

高い評価を受けて各地の文化財へ対象が拡大

VR技術の目覚ましい発展をひしひしと感じたのは2017年のこと。私たちも「VRに挑戦してみよう」と考え、試しに永福寺のCGをVRに適応させてみると大きな反響が返ってきました。
最初に鎌倉市歴史文化交流館で試験的に「VR 永福寺」を展示したところ、入館者が大行列を成しました。鎌倉市も手応えを感じたのでしょう。実際にPCとソフトを含めたシステムを鎌倉市に納入する運びとなりました。
永福寺跡内のQRコードを読み取ると、スマートフォン画面に永福寺が表示される「AR 永福寺」をリリースしたのも同じ時期です。鎌倉市歴史文化交流館で「VR 永福寺」を常設展示することが決定すると、綾瀬市と海老名市からも依頼をいただき、文化財のCG復元、さらにVR化・AR化に取り組むことになりました。私たちが手がけた3DCG、VR、ARが評価されているのは、資料に忠実なだけでなく、より高い妥当性を目指す姿勢を貫いたからだと思います。

ゲーム制作でコンピュータエンジニアのスキルを向上

車いすにスマートフォンを水平に装着した状態で街を巡り、坂道や道路上の段差など、車いすでの通行の妨げとなる障害(バリア)を自動検出し、googleマップ上で共有する「バリアマップ」も開発しています。車いす利用者の方がこれまで以上に社会進出するための手助けとなれるよう制作したアプリで、藤沢市のアプリコンテストでは大賞を受賞しました。
スマートフォンに内蔵されたジャイロセンサーや加速度センサーなど複数のセンサーを活用するもので、多くの人に使用してもらうべく、一般公開する予定です。

私が担当する2・3年次生対象の小規模プロジェクト型授業では、半期でのゲーム制作にチームで取り組み、進捗状況をライブ配信サービスで月に一度発表するよう学生たちに課しています。

面白いゲームを作るためには、プログラミングとCG、音楽、ストーリーなど、すべての面で本気で取り組む必要があります。面白いゲームを目指し必死に学んでいくと、自然とコンピュータエンジニアとしてのスキルも向上します。
ゲームを作る技術にはVR・ARの制作と重なる要素も多いので、学生たちが将来、文化財のデジタル化に携わってくれたらうれしいですね。
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