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機械工学科 加藤 和弥 教授


[研究テーマ]ワイヤレスセンシングとIoTの研究

求められる機械の動きを計測・監視する「仕組み」

私の研究の出発点は機械工学です。大学院では工作機械の研究に取り組んでいました。旋盤とかフライス盤と呼ばれる、金属を加工する機械のことですね。メーカー時代は工作機械を導入して、モノづくりを量産化する取り組みに従事していました。
工作機械について、大学院では開発する側、メーカー時代は使う側と両方の立場を経験して感じたのは、「機械の動きを計測・監視する“仕組み”が世の中には少ない」ということでした。工作機械に用いられる刃物を「切削工具」といいますが、それが壊れたり、刃の部分が欠けると製品の精度が落ち、不良品を出してしまいます。そうならないように人の目で監視したり、製品チェックをするのですが、効率的ではありません。そこで、どうにかして自動化する仕組みができないかと考えるようになりました。
ソフトウェアで機械を動かすことが好きだったこともあり、機械工学と電気・電子技術との融合分野へと研究が広がったのです。

パラスポーツやワインづくりに貢献

切削工具の監視を自動化するシステムは、機械類にセンサーを取り付け、無線(汎用Wi-Fiモジュール)で送信された振動をPCでチェックすることにより実現しています。その後、ワイヤレスセンシングとIoTを組み合わせた技術をさまざまな分野で実用化してきました。
一つはパラスポーツにおける展開です。義足ランナーのための義足用高機能アダプターの開発に携わりました。義足にかかる衝撃力を計測するなど、一流アスリートの足のスイングスピードや地面反力などを計測し、データを分析して、初心者がパラスポーツに安心してチャレンジするための高機能なアダプターを開発しています。
また、埼玉県では地場ワインの開発に技術協力し、醸造の過程におけるアルコール濃度と醪(もろみ)内の温度など、これまで熟練した匠の技で判別してきたさまざまなデータを「見える化」することに成功しました。ベテランに頼らずとも、品質の安定したワインづくりが可能なシステム構築に貢献しています。

好奇心が将来の研究に役立つ

私たちの研究では、「何を測るか」が重要です。例えばワイン開発では、当初、醸造の過程で発生する発酵ガスの量を測ろうと考えたのですが、糖度の変化に注目した方が醸造の進み具合を正確にとらえられることに気づき、糖度センサーの採用にたどり着いたのです。
栃木県のイチゴ農家と連携した技術協力にも取り組んでいます。美味しいイチゴを生産するためには温度管理が重要なカギです。気温が下がる夜中にイチゴが凍ってしまう事態もあるので、ビニールハウスに足を運び、不断のチェック作業を欠かせないのが実情でした。温度管理を自動化し、家に居ながらモニターできる環境を提供すると、農家の方はとても喜んでくれました。この喜びの声こそ、私が研究に向かう原動力です。

「何を測るか」を考える上で役立つのは幅広い分野の知識です。これから大学を目指す皆さんは、いろいろなことに興味を持ってください。そこで得た知識は将来きっと役に立つでしょう。
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